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就活ノウハウ

9.11後のアメリカ留学で経験したこと。やりたいことが一貫していれば辛い出来事も乗り越えられる

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留学と帰国後の仕事をテーマにしたインタビューです。
今回は、アメリカ留学の後、現在は東京で子どもを英語で預かるお仕事をしている、Azumiさんのお話です。Azumiさんはどんな留学生活を送り、それは現在のお仕事にどう活きているんでしょうか。

お名前 Azumiさん
年齢 32歳
性別 女性
出身校 神田外語学院→カリフォルニア州立大学フレズノ校
出身地 長野県
留学先 アメリカ
留学期間 2007年1月~2008年12月(2年間)
留学の目的 正規留学

目次
1.留学経験について
1-1.アメリカ留学で成長したこと
1-2.留学に行く前に企業で働く経験をしてよかった
1-3.留学仲間のインド人夫婦に教わった心に残る言葉
1-4.留学中に「自分は外国人」を意識したできごと
1-5.留学のきっかけ
2.現在のお仕事について
2-1.子どもを英語で預かる仕事をしています
2-2.必要な資質
2-3.将来の夢
2-4.選考はどんなものでしたか
2-5.企業から留学経験は評価された?
2-6.留学経験で仕事に活きていること
3.これから留学に行く人へアドバイス
3-1.行くかどうか迷っている人へ
3-2.9.11後のアメリカへ留学に行く決心
3-3.これから留学へ行く人へのアドバイス

大学の画像はカリフォルニア州立大学フレズノ校公式HPより引用。

1.留学経験について


 

1-1.アメリカ留学で成長したこと

アメリカには英語の教授方法を学びに行きました。日本で外語専門学校を卒業したあと、地元で一度就職しています。1年間働いたのち渡米しました。現地では英語教授法のみならず、教科書では学べない生きた英語を学べたことが一番大きいと思います。

 生きた英語とは?

教材は作ってから発行、私たちの手元に来るまで時間がかかります。その間にも言葉は変わっています。それに教材のようなきれいな英語は絶対に聞けませんし、若者言葉なども学べません。複数人の言葉が入り乱れる会話の中で聞き、話すことも日本では学べない英語体験です。

 教育について学ぶ

教育について、アメリカの現地の人や、色んな国の人と話ができたことも、留学に行っていなかったらできないことでした。例えば、ニュージーランドは読書の時間は座らなくていい、とか。その子が集中できるのが大事だから、立っていいても寝そべっていてもいい、という考え方です。本当に全く違う意見を聞けるんです。日本にいれば、日本の中で何がベストなのかを考えます。でも留学に行ったことで、世界の中で何がベストなのか?と考えるようになりました。

1-2.留学に行く前に企業で働く経験をしてよかった

卒業後、すぐに留学しなかったのは資金を貯めるためです。1年間限定でしたが、子どもたちに英語を教える仕事がしたい、ということで雇ってくれる会社があったので、そこに就職させていただき働きました。会社の視点で考えると、無理をお願いしたような形でしたが、結果、それがすごく良かったんです。アメリカでは一度社会に出てから大学に入り直す人が多く、私の周りにも先生の経験がある人がたくさんいました。学校卒業したてで実務経験がなかったら、そのような人たちとも真剣にディスカッションさせてもらえなかったかもしれません。

1-3.留学仲間のインド人夫婦に教わった心に残る言葉

 「自分のしたことは自分に返ってくる」

同じ大学で学んでいた仲間でインド人のご夫婦に聞いた言葉です。このご夫婦はなにかにつけすごく良くしてくれる方々で、こちらが不思議に思うくらいなんです。例えば、自分たちが買い物に行くときは、車がない私に声をかけ、「なにか買ってくる物はある?」と声をかけ一緒に連れて行ってくれます。週末は家に呼んでくれてインド料理を振る舞ってくれます。なぜこんなによくしてくれるんだろう?と思っていたのですが、日本にも「情けは人のためならず」という言葉がありますが、このご夫婦からこの言葉を聞いて、心からこの言葉を信じているんだなあと思いました。

 「悩むところでエネルギーを消耗するより、悩んだ先にエネルギーを残しておけ」

これも、そのインド人夫婦から教わった言葉です。学部を終えて、大学院に進むか、帰国して就職して経験を積むか、悩んでいたときにかけられた言葉です。研究室の先生からは大学院に誘ってもらっていたのですが、学費のこともあり、決め兼ねていましたときに、この言葉をもらい、ハッとさせられました。私は石橋を叩いて渡るような慎重な性格です。それだけに、悩みすぎたり、決めたあとであっちが良かったんじゃないか、とか悩むくらいなら、先に決断して、その先でがんばることにエネルギーを残しておくべきだ、という言葉はガツンときました。

1-4.留学中に「自分は外国人」を意識したできごと

 当たり前にボランティア

大学では単位を取るためにボランティアをします。しかし、それ以外にも自主的にボランティアをやっている学生がいました。ボランティア活動をするのが当たり前、という感じです。宗教の影響もあるのかなと思います。私も裕福でない子どもたちのために、教会で英語のreadingを教えるボランティアをしていました。

 ゼノフォビア(xenophobia:外国人嫌い)

これは期待が裏切られた体験ですが、もっとアメリカの人は日本人留学生に興味を持ってくれると思っていました。日本では留学生は珍しい存在です。すぐ興味を持ちますし、キャンパスで困っている留学生がいたら親切にします。でも少し考えれば、アメリカは世界中から留学生が来ますし、そもそも移民の国で、日本人が留学に来たからと行って、珍しくもありません。
ゼノフォビア(xenophobia)という言葉があります。「外国人嫌い」というような意味です。そういう学生は何人かいました。プレゼンで日本人の英語の発音をクスクス笑う、ようなことを私も見てきました。私の学校は外国人留学生は少なく、国籍比率はアメリカ人がダントツ、次にインド人、日本人は全体の5~6%だったでしょうか。

 とんでもない?アメリカ人ルームメイト

外国人であることを意識した経験は他にもあります。最初は学校の寮にいて、アメリカ人のルームメイト5人と住んでいました。ある朝、早くに出かける用事があったのでしょう、朝6時に起きて、何か準備を始めたルームメイトがいたのですが、そのときに爆音で音楽をかけるんです。早朝の6時で、まだ当然みんな寝てるんですが、そんなことはおかなまいなしでした。その子だけが特別なのかな、と思ったのですが、他の子もそんな感じだったので、アメリカ人ってこうなのかな、日本人とぜんぜん違うなと思いました。

 家を借りて自由に

そんな寮生活だったので、途中からは日本人の留学生の友達とアパートを借りました。最初は外国人ということで信用がないので全然相手にしてもらえませんでした。やっと、前に日本人が住んでいて、退去のタイミングで入れ替わりで住める事になって、無事引っ越すことが出来ました。やっぱりアパートを借りると自由度が違いました。日本食も作れますし。ちなみに当時、授業は朝の8時から夜の10時。ランチは大学のカフェテリアで食べていました。普段はインド人や台湾人の友達と過ごすことが多かったです。

1-5.留学のきっかけ

少し重いかもしれないんですけど、祖父から戦争の話を聞いたことがきっかけです。祖父はよく戦争や戦後、シベリアに抑留されていたときの話をしてくれました。小さいときから、「いろんな人種の人が一つの言葉で話さないと争いごとはなくならないんだろうな」と思っていました。それが英語を学ぶきっかけです。アメリカのことを「日本と戦争した国」とはあまり意識しなかったです。誰が悪いとかも思いません。祖父も、相手も、戦争に行けと言われて行った人たち。当時は平和な世界を作れる環境ではなかったのだと思います。祖父もアメリカを批判することはありませんでした。
「一つの言葉で話せる世界」を考えたときに、日本語が世界に広がることはありません。小さい国がどこか妥協しなければなりません、広い世界で一番使われているのは英語です。一つの言葉で話すために、英語を話せる子どもたちを増やしたいな、そのために自分は英語を教える仕事がしたい、と思うようになったのです。
アメリカに行く私のことを祖父はどう思っただろう、とは思います。留学に行くことを面と向かって褒めてくれることはありません。しかし、周りの人には私のことを、「孫がアメリカに行ったんだ」と褒めてくれていたようです。

2.現在のお仕事について

2-1.子どもを英語で預かる仕事をしています

帰国後は最初に子供向け英会話教室に就職し、留学エージェントに転職、今は子どもを英語環境で預かるお仕事をしています。インターナショナルスクールではなくて、英語の学童のようなイメージです。50~60人の子どもたちがいて、常時いるのは10~20人くらいです。日本語は全く使いません。全部英語です。預かっている子供はほとんど日本人で外国人は数名です。
いまが、現在の会社に就職してはじめての夏休みなんですが、夏はとっても忙しいです。学校は休みだけど、親は仕事なので学童に預けるんですね。他にも夏だけ体験的に英語を学ばせたいとか、夏休みだけ預かって欲しいご家庭もあります。スイカ割りとか流しそうめんとか、水族館へ遠足とか、イベントも多いです。

2-2.必要な資質

子どもが好き、英語が好き、だけではやっていけない仕事だなと思います。
英語力はもちろん、子どもの話を聴く力も重要です。「英語を教えること」と「保育」を両方やっているので、今後は子どもの心理などもきちんと学びたいですね。

2-3.将来の夢

将来は小さくてもいいので自分の英語教室を持ちたいと思っています。これは自分で作りたいです。子どもの接し方、英語の教え方、勤めていると、どうしても企業のやり方になります。留学で学んだ、色んな国の教育方法なども念頭に、模索中です。

2-4.選考はどんなものでしたか

覚えている質問です。

 海外の経験はありますか?

 留学で得た経験、会社に活かせる経験はありますか?

 辛かった経験、楽しかった経験、がんばった経験

などを聞かれました。
(このあたりは人格的なところを聞かれているのかなと思いました)
口頭試問で、「子ども2人がケンカしています。どう解決しますか?」という質問がありました。また、私は聞かれませんでしたが、「子どもは好きですか?」と質問されている人がいましたね。あえて聞くところに、子どもが好きだけではだめなんだ、ということを感じました。

2-5.企業から留学経験は評価された?

留学に行く前と行った後とで、キャリアが一貫していたことが評価されたと思います。留学できなくて苦しかった時期も、子どもの英語教育にこだわって就職しましたし、帰国後、一時期子どもの教育から離れて留学エージェントへ転職した時も、子どもへ留学のアドバイスができなくて、それができるようになりたかったからです。振り返ると、つまづくことがあっても、その都度、解決方法を見つけてキャリアにつなげてきたんだと思います。

2-6.留学経験で仕事に活きていること

生きた英語力を学べたこと、豊かではない家庭の子どもたちに、教会でreadingを教えた経験です。特に子どもたちに英語を教えた経験は貴重な体験でした。大人の英語じゃなくて子ども向けの英語を学びました。また、子どもは子ども、人種は関係ない、ということも強く感じました。

3.これから留学に行く人へアドバイス

3-1.行くかどうか迷っている人へ

こんな時代だからこそ、行くかどうか真剣に考えたほうがいいです。私は色んな人の意見を聞いた上で、自分の決断をしました。だから後悔もありませんでした。実は留学生活3ヶ月目、なんと構内で発砲事件が起こったんです。でも「英語のスピーカーを増やしたい」」という本来の目的を持って、強い気持ちで行きたいなと思って行った留学なので、動じることはありませんでした。

3-2.9.11後のアメリカへ留学に行く決心

私が留学に行ったのは2007年の1月からでした。9.11のテロがあったのは2001年。6年が経っていましたが、まだ私や、私の家族の中には、「アメリカ」に、テロの余韻、イメージが残っていました。私自身もニューヨークのテロが起こった当時、強い「恐怖」を感じました。現実にこういうことが起きてしまうんだ、と。親は留学から帰国したときは手放しで喜んでくれましたが、無事送り出すとき、帰国するまでは気が気ではなかったと思います。でも本来の目的「英語を話せる子どもを増やす」という目的を考えたときに、色んな人の意見は聞きましたが、最後は自分で渡米を決断しました。どんなに悩んでも、自分が行きたければ行くんです。だから大切な人にたくさん相談した方がいいと思います。

3-3.これから留学へ行く人へのアドバイス

楽しんでください!そして留学に行くからには英語を勉強することだけを目的にして欲しくないと思います。今は短期留学も増えています。前なら就職するときに「留学行ってきたの、スゴイね!」とい言ってもらえました。今はこちらからしっかり伝えないと、誰も評価してくれない世の中です。みなさん、留学から帰ってからどこかしら企業に就職することになると思います。その時、英語で何をしたのか、英語で何ができるようになったのか、があったほうが絶対にいいです。

梅澤 暁

金融、人材派遣のベンチャー企業で販売・営業職、一部上場企業の経理を経て、2015年株式会社留学情報館に総務部長として入社。2017年より”English Career"責任者。

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